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原 点 に 戻 る

 神戸は2年前までは、私にとって日本の一つの市に過ぎなかった。しかし、神戸で出会った人々が私を受け入れ、この町のすばらしさを紹介して下さったお陰で、神戸は身近な町となった。この文章は、私の母国インドネシアの両親の家に滞在しているときに書きました。

2月、3月は雨期の季節なので、雨が毎日降り続きます。そのため、ジャカルタ全域は洪水となり、我が家も小舟のように浮いていますが、数年ぶりの洪水の体験は、懐かしくも思われます。子供のころは、洪水の時に発泡スチロールの小舟を作って、友達と家の前の橋の下を潜るなどの水遊びをよくしました。しかし、現在ジャカルタの溝はどこもゴミが詰まっているため、溝の水は汚れたり、水が流せないままで道路や家のところまで溢れています。洪水で3〜4mも水位があがり、浸水してしまう家もあるのです。また、ジャカルタでは、マラリア熱も流行っていて、皆がその病気を恐れています。

日本から帰国した次の日に、洪水に見舞われたことは、確かに困ったことですが、それは恵みでもあります。自分を育ててくれた場所や家庭と改めて出会うのに、今回の洪水の体験は、自分の原点を思い出させてくれました。10年間の日本の暮らしに慣れている私にとって、このような体験は本当に貴重なものと感じています。どんなに日本と母国や実家が離れていても、私の原点は、やはり毎年の洪水とマラリア熱病に立ち向かっている人々の暮らしの中にあります。
彼らとの暮らしは私の心の拠り所でもあるし、「ここから、日本への旅は始まったのだ」と心の中で安らぎを感じます。六甲教会に所属したのは、2年間だけでしたが、その間に数え切れないほどの出会いを体験させてもらったことは私にとって光栄でした。私たちは、違う原点で生まれ、育てられたとしても、ひとつ一つの出会いにおいて、お互いの体験の豊かさを分かち合い、密接に結ばれることはこの2年間の一番のありがたいことであったと感じています。日本から離れて、アメリカに旅立つ前に、しばらく母国で自分の原点に出会うことはうれしいが、
母国で得られた穏やかな心と今度アメリカで学んで来ることが、日本での福音宣教のためによりよい準備になることを望んでいます。
今度日本に戻るときに、日本語の発音や表現が
少し変に思われたら、是非直して下さい。皆さ
んとの再会を楽しみにしながら、行ってきます。





洪水で浮いているジャカルタの町より 
バンバン・ルディアント神父

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