ホーム 六甲教会について お問い合わせ
図書紹介

  「センス・オブ・ワンダー」

レイチェル・カーソン 著
新潮社

 私がこの詩情溢れる美しい本に出会ったのは、3、4年前、環境問題に心を向け始めた頃読んだ「沈黙の春」を通してだった。著者は人間のエゴイズムを基準に発達した近代文明が如実に恐ろしい自然界の環境破壊を招くかを実証して「沈黙の春」を世に出したが、ここに紹介する「センス・オブ・ワンダー」は、人間の心の環境問題を深く洞察して書かれたものだと感じとれる。

 特に私は、人工的なものにはまり込ませるような、子ども達の心を取り巻く最近の環境に、ひどく荒廃したものを感じるので、是非この本を子育ての中の親にお勧めしたく思った。
 著者は本書の中で、親が子どもと共に幼い時から自然、人、神との3つの関係性にしっかりと結ばれて生きてゆくことの大切さを語っている。
 「生まれつき備わっている子どもの『センス・オブ・ワンダー=神秘さや不思議さに目を見張る感性』をいつも新鮮に保ち続けるためには、私たちが住んでいる世界の喜び、感激、神秘などを子どもと一緒に再発見し、感動を分かち合ってくれる大人が、少なくとも一人、そばにいる必要があります」

 子どもの教育に頭を悩ます親に『知る』ことは『感じる』ことの半分も重要ではないと言い切る著者は、アメリカのベストセラー作家であり、海洋生物学者でもあった。彼女は、最後の仕事として本書を更に膨らませて出版したかったが、その前に彼女の命は燃え尽きてしまったので、本書はレイチェルの遺言でもある。もし親が子どもと共に、自然界の神秘と美しさに目を見張り、「わァ!素敵!」と感動の叫びを発することが出来る少なくとも一人のそばにいる存在になることが出来たなら幸せだと思う。その時『天地創造の物語』を聞かせてあげたなら子どもは『あ、よきかな!(創1)』という神様の感嘆詞を生涯にわたってどんな時にも聴くことが出来るのではないだろうか。

 (出口洋子)




ページ先頭へ ホームへ
 六甲教会について お問い合わせ
(C) Copyright 2002 Rokko Catholic Church. All Rights Reserved.