評議会議長　��山　吉彦

　今年11月24日に長崎で列福式を迎える188名の殉教者の中に、メルキオル熊谷豊前守元直がおられます。熊谷元直は源氏の荒武者熊谷直実の17代末裔にあたり、毛利藩内随一の豪傑であると共に熱心なキリシタンでした。ﾆころが、お家再興を夢見る毛利輝元は幕府のキリシタン禁教令に従い家臣の元直を槍玉に挙げました。しかし元直の心の中では武士道の精神とキリストへの奉仕は決して相反するものではなく、キリストこそ最高の主君で、輝元は地上の主君であり、キリストへの信仰と武士道は一致していたのです。輝元の再三の説得にもかかわらず、彼の信念が変わることはありませんでした。
ついに輝元は萩での築城工事の遅れを理由に元直を厳罰に処することを決心し、1605年被昇天の祝日の翌日、元直は聖画の前に跪いて斬首されました。

　元直の殉教を振り返る時、永遠にキリストと一致することを貫いた姿に深く心をうたれました。 我々が今これらの殉教者の精神に報いるために何をすればよいのでしょうか。キリストは我々 に何を望まれるのでしょうか。自らの信仰を深めていくことが神の愛に応える第一歩だと思います。

　 　 幸い我々の教会では４月から信仰養成のための多くのプログラムが組まれています。主日の ごミサに与るだけでなく、積極的にこれらに参加して、信仰が単なる知識に留まることなく、 日々の生活に生かしていくことです。共同体の講座に参加することによって、信徒同志の新た な分かち合いが生れることも大切です。

　信仰を自らの生活に根づかせ、次世代の自分達の子供、孫、さらには身近な若者達に信仰を確実に繋げていくために、我々の信仰の絶えざる働きかけが必要であり、今の時代に生きる我々に課せられた使命ではないでしょうか。
　
　殉教者の模範に支えられて愛と希望を持って、困難や苦しみを幸せに変えていく信仰生活をこれからも歩んで行きたいと思います。

※ 萩カトリック教会で発行された、「キリストの証し人メルキオル熊谷豊前守元直」の　
　　冊子を参考にしました。