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図書紹介
                                     
 『京のキリシタン史跡を巡る』          (杉野 栄著 三学出版 1200円) 
 『これだけは知っておきたい キリスト教』     (山我哲雄著 洋泉社 1400円)

 ご紹介する2冊の本は、教義の理解や思索を深めるための高尚なものではありませんが、私のように洗礼を受けて以来40年以上、不勉強のまま過ごした怠け者にとって、楽しみながら気軽に読めて、なおかつ乏しい知識を補える、まさに「目からうろこ」的な書といえるものです。

 『京のキリシタン史跡を巡る』は日本図書館協会選定図書で、帯の推薦文はキリスト教関連の書物には珍しく、臨済宗妙心寺派春光院住職が寄せられており、「五百年前の都の異文化も、心ある人がいて、初めて、ものは残り、今現在、人はそれにふれることができます。」とあります。

 目次を開くと、二十六聖人出発地・フランシスコの家・キリスト教とお茶、といった項目も勿論ありますが、東寺・大徳寺・十念寺・椿寺・本能寺等々、まるで京都の古寺・名刹の案内書の様相を呈しています。しかし、著者あとがきに「京に住むようになり、・・・圧制の時代になお、神への信頼を生きようとした町衆の真相を知る必要に迫られたのです。」とあるように、れっきとしたキリシタン研究書です。しかもほとんどのページに添えられた美しい写真を眺めるだけでも楽しく、ちょっとした余暇の時間に気軽に読める良書です。

 『これだけは知っておきたい キリスト教』は、タイトルだけ見れば少々俗っぽい本のようですが、著者は専門が聖書学、キリスト教学で、旧約・新約聖書に関する著書も多数ある大学院教授であり、まじめに取り組まれた読みやすい解説書です。各章のタイトルはこの本の性格上、「東西教会の分裂とキリスト教の中世」「宗教改革と近世・近代のキリスト教」といったやや固いものですが、これも挿絵や図表がふんだんに添えられ、それぞれの項目、たとえば「新しい契約とメシア思想」や「ローマ・カトリック教会と東方正教会」など、すべて見開き2ページにまとめられていて、とても読みやすい構成になっています。
  
 また、単なるキリスト教の歴史解説書に終わらず、第5章「キリスト教の現在」では、現代社会の直面する、戦争・貧困・抑圧・環境、諸教会の一致や「神無き現代」等に関する問題まで取り上げ、最後の第6章「キリスト教をさらに理解するためのQ&A」には<キリスト教がテーマの文学や映画は?>など、日常的な興味にも応える内容も用意されています。               
                                              (石光 一郎)

                                                        


 

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