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図書紹介           『旅 力』       
                           塚崎雄一著 大盛堂書房 2010.3刊

 この本はカトリック六甲教会の信徒、塚崎雄一さんが六甲学院を退職した2006年から2009年にかけてヴェトナム・ミャンマー・ラオス等を旅行し、またヒマラヤをトレッキングした時の旅行記です。旅力(たびぢから)というのは、旅が塚崎さんを日常の生活から解放し新しいエネルギーを与えてくれる、という彼の思いが込められた書名です。

 旅を通していろいろな人たちとの心の触れ合いが書かれた「人間讃歌」の本でもあります。特に圧巻はヴェトナム旅行記です。塚崎さんは学生時代に洗礼を受け就職で神戸に来た次の年にヴェトナムを訪れ、ヴェトナム戦争の戦渦を目の当たりにしてショックを受けます。たまたま現地のお嬢さんに親切にされたのが縁で帰国後も彼女と文通しますが、結局二人はそれぞれ別の道を歩むことになります。なんだか小説の題材になりそうなロマンチックな話です。娘さん一家はボートピープルとなります。六甲の学生会館に彼らが収容されていた時に塚崎さんが娘さんの母親に再開するくだりには思わず涙しました。彼は35年後にヴェトナムを再訪しています。青春時代の一こまを胸に秘めて・・・。

 ヴェトナム以外では日本人があまり経験しない10日間にわたるヒマラヤトレッキングも興味深い読み物となっています。また、彼が旅行中に読んだ書籍によって自分を見つめなおしている箇所も彼の人柄がわかって興味をそそられます。 
                                             (柾木 久和)


            『悪魔のささやき』

                                加賀乙彦 著 2008年 集英社新書

 
神を信じているとは言っても、肉体をもって生きている人間は肉体の制約から逃れることは出来ません。 わたしたちと同じ信仰を持つ精神科医の考えることは、信仰を持って日常の生活をするわたしたちが心得ておかなければならないことを示していると思います。一度読んでおくと良い本だと思います。
 
  マスコミ等が最近は本が読まれなくなったと書きたてています。情報伝達手段が多様化したためか、最近は信者も昔ほどは本を読まなくなったのではないでしょうか。「人間は誰しも誤りを犯すものです。その時点ではまだ見えていない事実もある。人間は弱く、愚かなものであり、自分もまたその一人だということを常に念頭に置いておくこと。そして、内なる偏見や自己防衛というフイルターをはずし、さまざまな立場から語られた、それも自分と意見を異にする情報をより多く拾い上げ、できるだけ客観的に弁別し、考察していくことが大事なのだと思います。」(同書P181)
 
  もっと多く読み、もっと多く書き、もっと多く語り合うことが必要ではないでしょうか。
                                      
(ヨハネ 三好 栄之助)

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