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図書紹介

 今年になって、私のお世話になった神父さんが相次いで他界された。母校の大学カトリック研究会の顧問のお二人、ネラン神父とルーメル神父。学連(東京カトリック学生連盟)時代に指導いただいた粕谷甲一神父。母校の恩師であると同時に、同じ職場(六甲学院)で働いたこともある兵頭逸郎神父と吉川洸神父だ。そのうちから大学生時代にお会いした3人の神父さまの本を紹介したい。

 「おバカさんの自叙伝半分 ―聖書片手に日本40年間― 」 ジョルジュ・ネラン著  講談社文庫 
  この3人の中では接触の機会がもっとも少なかったネラン神父の印象は強烈なものであった。私の大学入学とほぼ同時に顧問を辞められたので、直接に話できたのはその数年後に、それも数回出逢っただけなのに。フランス訛り?の日本語を駆使し、眼光鋭く、しかし温かく学生達に論理的に挑む師の迫力はすごいものであった。「復活」についてのやり取りの中で、私の眼を覗き込みながら、「君はそう思わないか?」と問いながら迫ってきた時の、その迫力をそのまま文章の中に再現しているのがこの本だ。遠藤周作との付き合いも長く深く、さらりと流す文章は自分で書かれたものに違いなかろう。熱を帯びて語る彼の言葉のひびきと切れ味を、話し言葉の持つ親しみと自信に満ちた勢いが文体の中にそのまま持ちこまれている。軍人で、宣教師で、東京大学などの教師で、キリスト教研究書「ロゴス(紀伊国屋書店)」シリーズを監修し、「キリスト論(創文社)」「キリストの復活(新教出版)」を著す神学者で、新宿の酒場エポペを切り盛りしたバーテンで、しかも正真正銘の神父なのだ。この文庫本の中で、読者は神父の明るい声と、こころ篤い生き方、日本にまで宣教にやってこさせた、深い、そして強い信仰に出会うことができるだろう。

「カトリック信仰を生きる」  クラウス・ルーメル著  聖母文庫
ルーメル師には、バリケードのすぐ脇のカト研の部室(ガタピシのプレハブ)で週一回、ラッチンガー(なんと!)を講読していただいた。夕闇の中で私たちと分かれて上智大学へ帰られると、経営者の顔に戻られる?(すぐ後に理事長になられた)という不思議なお立場であった。ある渓谷で行われた学生の合宿に付き添っていただいたときには、夜更かしと二日酔いでぼんやりしている私たちの頭の中に、さわやかなフルートの音色を響かせて、朝のすがすがしい気持ちへと、風を送り込んで下さったのだ。師の専門(西洋教育史)やモンテッソーリ教育についての多くの本を著されているが、ここに紹介する本は、雑誌「聖母の騎士」に連載した記事をまとめたもので、「伝統的な」カトリックの信仰を、74年間日本で過ごされ働かれた神父さんが、優しくコンパクトに語っておられます。 日々の祈り・人は神となる・奇跡について・十字架上での言葉・ノベナの祈りの由来・教会の歴史・・・・

蟻の町での司牧の後、日本カトリック学生連盟の指導をされておられた粕谷甲一神父との出会いは、ユニバーサル文庫の「孤独を超えて」を通してであったが、真生会館で直接にお会いするカスシン(学生達はこう呼んでいた)は、生きいきとして強く高い理想に燃える神父さんであった。にこやかな笑顔で「それは少しおかしいですよ」と私たち学生を度々たしなめられたりもした。学連をハマシン(浜尾神父=後に枢機卿)に引き継がれて、ご自身は青年海外教育隊・国際救援センターへと、フィリピン・ベトナム難民のお世話など東南アジアを中心に、社会奉仕活動へと活躍の場を確保されて行った。愛の実践と行動の人・カスシンは多くの本を残している。そして、そのどれも神の恵みへの絶えざる賛美と感謝が表われています。
★「出会い」と「ふれあい」花の香りの記録  粕谷甲一著 講談社現代新書
★「ゆれ動く日本人の心と宗教 大江健三郎とキリスト教・そしてオーム真理教」 粕谷甲一著  新世社
★「深き淵より新しき歌を 九・十一の傷痕を越えて」   粕谷甲一著  サンパウロ など

 (飯塚 )

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