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戦いの呼びかけ

助任司祭 片柳 弘史

 「戦わなければならない、もっと深い戦いがあります。それは、悪とその誘惑を拒絶して善を選び取ろうと、力強く勇敢に決意することです。それこそがキリストに従うということであり、自分の十字架を取るということです。それは、深い次元での悪との戦いなのです。」 フランシスコ教皇

 9月7日を「シリア、中近東、そして全世界の平和のために捧げる断食と祈りの日」と宣言し、サン・ピエトロ広場で10万人での祈りの集いを開催するなど、世界の平和について積極的なアピールを続けているフランシスコ教皇が、9月9日のアンジェラス・メッセージの中で全世界の信徒に向かって戦いを呼びかけました。それは、暴力や武器による戦いではなく、祈りによる悪との戦いでした。

 「わたしたちには、戦わなければならないもっと深い戦いがある」と教皇様はおっしゃいます。誰かと悪口を言い合ったり、互いを傷つけ合ったりするような表面的な戦いではなく、もっと本質的な、わたしたちの人生を左右するほどの戦いがわたしたちを待っているというのです。それは、悪との戦いです。「悪とその誘惑を拒絶して善を選び取ろうと力強く決意すること」、そしてそれを実践していくこと。それこそが、わたしたちの戦うべき本当の戦いなのです。

 この戦いの戦場は、わたしたちの心の奥深くです。わたしたちは、自分の心の中に入り込もうとしている悪、あるいはもうすでにわたしたちの心の中に入り込んでしっかりとした陣地を作ってしまった悪と戦わなければならないのです。たとえば誰かへの怒りや。「ほら、あいつはお前の評判を落そうとしているぞ」と、悪はわたしたちの心に囁きかけます。そして、わたしたちの心に相手に対する怒りを燃え立たせるのです。そんな誘惑の声を聞いたとき、「そんなことどうでもいい。神様がわたしをどう思われるか、それだけが問題だ」と言ってきっぱり拒絶すること。それが、わたしたちの戦いです。一度、怒りが心に入り込むと、それは憎しみとなって堅固な陣地を築き上げます。こうなると敵は強力です。深い祈りの中で、謙遜とゆるしの武具を持って戦いを挑む以外にありません。どうしてもゆるせない相手を、神の愛の中でゆるしてゆく葛藤。それが、わたしたちの戦いなのです。

 心の戦場でわたしたちの戦う相手は、悪そのものであり、悪に誘惑されて堕落してしまったわたしたち自身です。悪に誘惑されたわたしたちの心と、神に
立ち戻ろうとするわたしたちの心の間で戦いが起こるとき、心は乱れ、大きな苦しみが生まれます。その戦いに打ち勝ち、悪を斥けるとき、初めてわたしたちの心に平和が訪れるのです。真の平和を勝ち取るために「戦わなければならない戦い」を、戦い続けましょう。

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